名古屋ECOの卒業生たちは、全国の様々な場所で活躍しています。
卒業生たちは動物業界の現場でどのように働いているのでしょうか。
そして学生時代をどのように過ごしてきたのでしょうか。
卒業生たちの学生時代から現在のお仕事までの様子をうかがったインタビュー内容を、ほぼそのままの形でお届けする「【卒業生インタビュー】特集」。
今回は、サファリ形式で混合飼育を行っていることが魅力の伊豆アニマルキングダム。
ここで動物飼育員として活躍している栗田さんの、学生時代から現在までの様子に迫っていきましょう!
卒業生情報
栗田さん
伊豆アニマルキングダム
飼育担当(大型の草食獣、アフリカゾウ、等)
動物園・動物飼育専攻 2015年卒業
<取材日程:2019/10/15、取材:名古屋ECO事務局(白谷)>
動物飼育員を目指して名古屋ECOへ
――飼育員になりたいと思ったのはいつ頃ですか?
中学3年生くらいの時から、飼育員になりたいなっていうのがはっきり出てきましたね。
――名古屋ECOに進学しようと思った決め手はありますか?
本当は高校も農業高校に進学しようかなと思っていたんですが、実家から通うのにはちょっと遠いところにありました。
そのため高校は普通科を選択したんですが、それでもやっぱり飼育員の夢は諦めきれなかったので、先生に進路の相談をしたところ、1つが北海道の大学を勧められたんですが、そっちも遠いので、そういうのも含めて無いなと思いました。
それでもそういう職に就きたいなっていうのはありましたので、色々調べたところ、専門学校でNCA(現:名古屋ECO)が出てきたので、興味があったので入ってみようかなという形ですね。周りにはペットの学校が多かったので、飼育員専攻があるってところにも魅力を感じました。
――当時、どういうところで働きたいと思っていましたか?
僕はもう一本で、動物園です。
校外実習や研修を通して接客のスキルを上げることができた学生時代
――名古屋ECOで学ぶなかで、栗田さんなりに感じた名古屋ECOの魅力など、印象に残っていることがあれば教えてください。
実習です。
現場で体験できることが一番身になるかなと思ったので、今でも感謝しているところです。
――その他、学校の中で学んだことなどはありますか?
ホースの使い方やデッキブラシの使い方を実際に学校の前でやったことがあるんですけど、それも実は今でも使えるような事だったので、すごくためになっていますね。
――名古屋ECOで学ぶなかで「こういうスキルが身に付いたな」とか「こういうところで成長したな」という機会があれば教えてください。
やっぱり実習かなと思います。
多分カリキュラムのなかに入っている形だとは思うんですが、色んなところで実習をさせていただいたなかで、東山でのふれあいのところや、移動動物園の実習のなかでの接客のところに関しては、すごくスキルがアップしたのかなと思います。
接客や人と話すことがすごく好きな性格ということもあり、そこに関してはスキルがアップして、そのまま仕事に活かしてこれたのかなと思います。
――もともと接客がお好きな性格とのことですが、そのなかでより自分が成長したなと感じたのは、例えば接客のなかだったらどういう場面においてですか?
やっぱり子供相手の対応ですかね。
移動動物園も東山も同じなんですけど、小さいお子様が来るっていうのに対して、いかにお子様に対して、動物に怖がらずに触ってもらえるかなどを考えてきました。
あとは話し方ですね。目線に立ってお話しをしたりとかっていう部分ですね。
――やっぱり実習などで実際の子供さんを相手にする機会って多いですよね。
そうですね。
僕が入社してすぐの時は、ふれあい広場っていうところで小動物を担当していました。なので、もろに子供相手のところだったので、実習してて良かったなとすごく感じました。
いかに動物をそこで好きになってもらうかとか、いかに伝えられるかっていうところに関しては、すごく勉強になりました。
伊豆アニマルキングダムに就職 ~自分のガイドでお客様が楽しんでくださることが嬉しい~
――お仕事はどのようなことを担当されてきましたか?
1年目が小動物を担当していまして、ふれあい広場というところで小さいお子様からファミリーさんのところを対応していました。
2年目以降が大型の草食獣ですね。サイ、キリンなど担当させてもらってますね。
そこから今現在、大型の草食獣をずっと担当しています。2年目に入って半年くらい経ってから今にかけて、アフリカゾウも担当しています。
――実際にご入職されてから新しく知った、お仕事のやりがい、あるいは大変さなどがありましたら教えてください。
いっぱいあります。
やりがいに関しては、人が好きなので、お客様にガイドをする面で感じます。
うちの動物園はすごくイベントが多い動物園なんですね。なのでイベントを通してお客様と話す機会がとても多いので、やりがいをとても感じる部分です。
動物の部分であれば、繁殖して成功したりとか、今は人工保育とかでもあるので、それを最後まで育ちきるまでやるってことに関してはやっぱりやりがいはすごく感じるところではありますね。
――まず1点目についてですが、例えば具体的にお客様とのやりとりのなかで、「こういう言葉をいただいたらすごく嬉しいな」といったことなどはありますか?
うちの動物園では、お客様にアンケートを書いていただいています。
ガイドツアーとかイベントがあった時に僕が担当させていただくことがあるのですが、「栗田さんのガイドがとても楽しかった」ってアンケートに書いてくださったりすると嬉しいです。
あとは小さい子たちが、「お兄さん動物好きになったよ」と言ってくれたりだとか。
一番嬉しかったのは、リピーターの方でわざわざ僕のガイドを聞きに来てくれた方がいらっしゃったことです。やっててよかったなって思った。
――わざわざ聞きに来てくださる方もいらっしゃるということで、ガイドをするうえで心がけていることはありますか?
ガイドツアーとかガイドもそうなんですが、お客様のニーズによって話し方や話す内容を変えてみたりしています。
ガイドに関しては、園路を歩いているお客さんに対して、どういう話し方をして動物の魅力を伝えようかなと考えています。
ガイドツアーはイベントとしてやっているものなのですが、その時に来るお客さんによってニーズが様々なんですね。なのでお子様が多いときもあるのですが、ガイドツアーが大体30分くらいお時間をいただくようなイベントになっているので、そのなかでお子様が楽しくなかったり「つまんない」ってなるとその30分退屈な時間になってしまったりして、その時間が「動物が嫌い」「動物園もうやだ」ってなってしまうことが多いと僕は感じています。
いかにして、そういう子たちも楽しく、「また来たい」「また聞きたい」と思うようなガイドツアーにしていこうかと考えています。
具体的には、ガイドツアーのなかでクイズを出す等しています。また動物のうんちの話をすると、「やだやだ汚い」とか言うんですけど、すごく興味が湧く話なのでそういう話をしてみたりだとか。
あとは実際に動物とふれあってもらうっていうところで、子供たちの退屈な時間を楽しい時間に変えるっていうやり方は自分のなかで意識しています。
繰り返しになっちゃうんですが子供たちの目線に立ってお話してあげたり、口調をちょっと変えてみたりしています。
さらには、お子様のなかでも、ガイドのお話しのなかで「あれなに?これなに?」って結構出してくるんです。それをその時にちゃんと返してあげるっていうのは心がけています。
結構お父さんお母さんが「やめなさい」って言うんですけど、そうなってしまうと、今聞きたいことが無視されたっていう形で捉えられちゃうと負のオーラが出てしまうからです。
そういったお客様とか子供たちにはその都度、そこで返してあげます。お子様がいたら子供たちメインでお話をしてあげれば大人の方も伝わるかなと思っています。
一方、お子様の人数が少なかったりとか、大人の方が多かったり、ご年配の方が来たりってときは、ちょっと難しい話をしてみたりしています。
例えばサイの数が減っている現状や絶滅してる現状とかっていうのをお話ししてみたり、難しい話も少し入れながらガイドしてみたりというのは心がけています。
お客様の年齢層等を見ながら、興味があるような反応をしてきたらそういう話をしてみたりとか、その都度変えるようには意識しています。
――2点目の繁殖については、やはり難しいのですか?
そうですね。
毎年ぽんぽん生んでくれる子たちであればそこまで心配は無いんでしょうけど、繁殖が難しいとされている動物や、老齢個体、おじいちゃんおばあちゃんが増えているなかで、数を増やしていかなきゃいけないってことで繁殖しています。
繁殖を経験していない個体も多かったりするので、そのなかでどうやって育児を教えていくかっていうのを考えています。
あとは繁殖に向けてお見合いをさせて同居に至るまでだとか、そこに対しての餌の調整だとかも考えます。
すごく難しいんですけど、そこに対して考えて、実際にやってみて、それが成果に出るっていうところにやりがいがあるなと思います。
あとは親が育児放棄してしまった個体に関しては人工保育という形で対応を取るんですけど、それに関してもミルクの濃度をどうするかとか、うんちの状況を見ながら変えたりとか、難しいところでもあります。
人工保育ってなると群れの動物は群れのなかに入れなきゃいけないっていうところに対して、群れの子たちは受け入れてくれるかどうかとか、そこらへんの見極めも難しいですね。
タイミングとかもあるので、そこらへんをいかに考えてやっていくかっていうのを、難しいんですけど、結果に出ればものすごく嬉しいので、仕事に対してのモチベーションも上がっていくなと思ってます。
実際に人工保育に関しては、ムフロンっていう動物を担当していたんですけど、今まで人工保育に切り替える事は何度もやってたそうなんですが、成功例が一度も無かったそうなんです。
で、自分が担当させていただいて、ほぼゼロからのスタートだったので、本当に試行錯誤しながら初めて1頭目成功したっていうところで自信にも繋がりましたし、やりがいがあったところではあります。
――入社して6年くらい経った今でもずっと試行錯誤の繰り返しですか?
そうですね。今まで3~4頭ぐらい人工保育経験してきたんですけど、「前回こうだったからこれで大丈夫だろう」ってやっても、やっぱりその子その子でちょっと違ったりするんですよね。
なのでそこの微調整とかはすごい難しかったので、記録はあるにせよ、それは大まかな流れとか大まかなデータであって、細かいところに関しては現場でやっていくなかで試行錯誤しながらっていう形になっていきます。
――名古屋ECOで学ばれたことがご入職されてからも、「こういうところが役に立ってるな」とか「こういうところが活きてるな」ということがあれば教えてください。
ほぼ同じことの繰り返しにはなると思うんですが、基本的に現場で学ぶことも多いのですが、座学で勉強したこと、飼育ハンドブックの勉強なども身になっています。
頭の隅にあったりするので、ふとした瞬間に「確かこういうふうに勉強したな」ってことが現場のなかでよみがえってくる時があります。
あとは実技と実習ですかね。実習先などで学ぶっていうのが一番身になることだと思います。
――1点目の座学やハンドブックのことはある種の理論みたいなところだと思いますが、それが実践っていう現場のなかでふと出てきて、理論と実践が一致するみたいなことがあるということですね。
そうですね。
現場でやっていて、「なんかこれ勉強したような記憶あるな」っていうのがあって、実際に飼育ハンドブックを見返してみると、「ああやったな、なるほどね」って、そこでまた理解が増すというか。
その時は勉強していてもよく分かっていなかった自分がいたんですけど、実際にこういう職に就いて現場で感じたことを振り返ってみると、「あの時言ってたことがやっと理解できた」といったような感じですね。