春の登山実習の下見とアウトドアインストラクター専攻の学生を連れての山岳実習に行きました。
初日は名古屋駅から松本へ、松本駅から上高地に入りました。
11kmを歩き、横尾山荘テント場に到着、夕食を食べ終えた頃からポツリ、ポツリ・・・夜中には本降りになりました。
2日目の昼には雨も止み、快晴!!
標高2,000Mあたりでアイゼンを装着し、雪の上を歩きます。
2日目は涸沢ヒュッテのテント場に泊まります。
今年、涸沢ヒュッテには野生動物保護専攻の卒業生が働いていて、笑顔で迎えてくれました。
明日は、学生が3160mの北穂高岳に登頂に挑戦する予定なのですが、夕方に行った、滑落停止訓練の出来は、昨年度の学生と比べると低く、私は一晩考えました・・・。
学生たちのレベルの問題ではなく、私が彼らを安全に登頂させ下山させるための、技術と知識、経験が足りないと考え不安になったのです。
昨年は、学生のレベルに助けられたのかもしれません。明日の朝、学生に謝ってこのまま上高地へ降りようと思っていました。
3日目の早朝の事です。
学生の一人が自主的に滑落停止のトレーニングを行っていました。
ピッケルと体を繋ぐハーネスを忘れた学生は、ザイルを使いハーネスの代用を作っていました。
天気は快晴で、空も「登れ」と後押しをしているかのように、雲一つありません。
少し日が高くなり、凍った雪の表面も柔らかくなってきています。
2人の先行者が登った様子とトレースを確認し、登る決断をしました。
途中 斜度、45度を超える雪の壁に張り付き、ピッケルの刃を雪に突き刺し、一歩一歩慎重に登ります。
そして約3時間後、3人全員が登頂に成功しました。
皆、とても誇らしげで、自分の努力を素直に認めて、自分を精いっぱい褒め、またお互いを褒め合っていました。
その姿を見て、本当に連れてきて良かったと感じました。
しかし、下りの方が危険で、山岳事故の多くは下山途中におきています。
そして、45度を超える斜度を上から見ると、足がすくむどころか、命の危険を感じます。
その危険を感じてもらう事も、彼らの大きな成長に繋がります。
下りの技術を伝えながら慎重に下り、ピッケルの使い方を、無意識にでも正しい動作ができるように何度も繰り返し訓練しながら、無事全員を下山させることができました。
天気にも恵まれ、素晴らしい実習を行うことができました。
これからの彼らの活躍と成長に期待をしたいと思います。